「空き家にすると税金が6倍になる」——そんな話、どこかで聞いたことありませんか?
聞いた瞬間、ちょっと背筋が冷えますよね。「6倍」って、なかなかのパワーワードです。
これ、ウソではないんですが、安心してください。
いきなり6倍になるわけではありません。
6倍にたどり着くまでには、ちゃんと段階があって、途中にいくつもの「分かれ道」があります。
今回は、その流れをステップごとに説明します。
「うちの実家、大丈夫かな…」と不安になった方こそ、ぜひ最後まで読んでみてください。
読み終わるころには、必要以上に怖がらなくてよくなっているはずです。
正直、商売のことだけ考えるなら、不安を煽って「今すぐ行動を!」とやるほうが儲かるのかもしれません。
ただ、僕はそういうのがなんかイヤなんです。それに何より、みなさんの信頼が欲しい。
信頼を積み重ねた先で「こしのやにお願いしようかな」と思ってもらえたら、結局そのほうがちゃんと儲かる——という計算もしています。
すみません、結局お金の話でした。それが僕です。ご容赦ください。
話が脱線しましたが、依頼してくださる方とはwin-winのいい関係を築きたいと、本気で思っています。それでは本題に戻ります。
「とりあえずそのまま」にしている空き家、税金の面でも注意が必要です
まず知っておきたい「住宅用地の特例」のこと
固定資産税って、土地と建物にそれぞれかかります。
そして、家が建っている土地(住宅用地)には、大きな税金の優遇があるんです。
これが「住宅用地の特例」で、2種類あります。
小規模住宅用地(200㎡(約60坪)以下の部分)
固定資産税が 6分の1、都市計画税が 3分の1 になります。
一般的な一戸建ての庭や敷地は、だいたいここに入ります。
一般住宅用地(200㎡(約60坪)を超える部分)
固定資産税が 3分の1、都市計画税が 3分の2 になります。
広い土地の場合、200㎡(約60坪)を超えた分がこちらです。
つまり、家が建っているだけで、土地の税金がぐっと安くなっている、ということ。
逆に言えば、この特例がはずれた瞬間に税金が跳ね上がる——ここが空き家問題のいちばんのキモです。
頭の片隅に置いておいてください。後でこの話が効いてきます。
ステップ① 普通の住宅として使われている状態
この段階では、住宅用地の特例がしっかり適用されています。
毎年春に届く納税通知書を「はいはい」と払っているあの金額、実はすでに特例で安くなった後の数字です。
ありがたみを感じる機会がないまま、恩恵だけ受けている。
空気や水と同じで、失って初めて気づくやつですね。
この段階では、特に何もしなくて大丈夫です。
ステップ② 人が住まなくなって「空き家」になる
親が施設に入った。相続で引き継いだけど住む予定がない。
そんな理由で、家はある日「空き家」になります。
この時点では、いきなり税金が6倍になるわけではありません。
家が建ってさえいれば、住宅用地の特例が続くケースが多いです。
ただし、ここで油断して放っておくと状態が悪くなり、あとあと増税につながっていきます。
厄介なのは、この段階では何のペナルティもないこと。
痛みがないから「とりあえずそのまま」になりやすいんです。気持ちは、すごく分かります。
実際、全国の調査でも、空き家を持ち続ける理由として**「取り壊すと固定資産税が高くなるから」と答えた人が約3割**いました(国土交通省の調査より)。
つまり「下手に動かない方が税金は安い」と考えて、そのままにしている人がとても多いんです。
ただ、それで管理を怠ると、結局この記事の流れどおり増税に近づいてしまう——なかなか悩ましいところです。
ステップ③ 管理されずに傷んでいく
ここからが問題です。
定期的に管理しないと、庭や外観はあっという間に荒れてしまう
人が住まなくなった家は、思っている以上に早く傷みます。
風が通らないからかびが出る。誰も見ていないから雨漏りに気づけない。手が入らないから庭が伸び放題に——。
そして、伸びた庭や荒れた外観は、自分が思うより先に、ご近所の目に留まり始めます。
ステップ④ 自治体が「管理不全空き家」か「特定空き家」に認定する
2023年の法改正で、空き家の区分が整理されました。
ちょっとややこしいので、噛み砕いて説明しますね。
管理不全空き家
草が伸び放題、外壁が汚れてきた、窓が割れてるなど「まだ危険とは言えないけど、このままだとまずい」レベルの状態。
→ 自治体から改善の勧告が届く
→ 勧告を無視すると住宅用地の特例がはずれて増税
→ ただし「解体しろ」とはならない。ペナルティは増税どまり。
特定空き家
倒壊しそう、衛生上の問題がある、景観を著しく損なっているなど「すでに危険・深刻な状態」のもの。
→ 自治体から指導・勧告が届く
→ 勧告を無視すると住宅用地の特例がはずれて増税(管理不全と同じ)
→ さらに無視すると命令が来て、最終的には行政代執行(強制解体)になることも
→ 解体費用はオーナーに請求される
まとめるとこういうこと
どちらも「勧告を無視すると増税」になる点は同じです。
違いは、特定空き家の方には、その先に「強制解体・費用請求」というもっと重いペナルティが待っていること。
管理不全空き家 → 勧告を無視すると、税金が上がることがあります
特定空き家 → さらに放置すると、強制解体や費用請求につながることもあります
「そうは言っても、田舎で本当にそこまでやるの?」と思うかもしれません。
でも越前市では、これまでに7件の空き家が「特定空き家」に認定されていて、うち2件は危険な部分が実際に取り壊されています(越前市の空き家対策計画より)。
制度は、ちゃんと動いているということです。
ステップ⑤ 勧告を無視すると「住宅用地の特例」がはずれる
勧告が来た段階で対応すれば、特例は守られます。
でも無視すると——
- 小規模住宅用地で 6分の1 → 特例なし(最大6倍!)
200㎡(約60坪)を超える広めの土地でも、住宅用地の特例がはずれると数倍に跳ね上がります。
「急に税金が6倍になった」という話は、ここから来ています。
特例がなくなっただけ。なのに、それまでと比べると数倍に跳ね上がって見えるわけです。
で、実際いくら上がるの?
「6倍」と聞くと、今5万円払っている人は「30万円になるの!?」と思いますよね。
実は、そうはなりません。ここ、けっこう誤解が多いところなので、ちゃんと説明させてください。
まず、6倍になるのは**「土地の固定資産税」のうち、特例で安くなっていた部分だけ**。建物の分はもともと特例と関係ないので、変わりません。
さらに、特例がはずれた土地には「負担調整措置」という別のしくみが働いて、課税のもとになる金額が評価額の70%以下に抑えられます。結果として、土地の税金は6倍ではなく、実際には3〜4倍程度に落ち着くケースが多いです(参考:各種税理士・不動産会社の解説より。2026年時点。自治体の運用や土地の評価によって変わります)。
ざっくり試算してみましょう。
越前市・鯖江市の一般的な一戸建てで、固定資産税が年5万円(土地3万円+建物2万円)だったとします。
|
特例あり |
特例がはずれると |
| 土地分 |
3万円 |
9〜12万円くらい |
| 建物分 |
2万円 |
2万円(変わらず) |
| 合計 |
5万円 |
11〜14万円くらい |
※あくまで目安です。実際の金額は土地の評価額によって大きく変わります。
「なんだ、6倍じゃないのか」と思うかもしれません。
でも、年5万円が11〜14万円。毎年、家族旅行1回分くらいが勝手に上乗せされるイメージです。
しかも勧告を無視し続けるかぎり、ずっと続きます。
6倍という数字にビビる必要はない。けど、放っておいていい話でもない。
——それがこの制度の実際のところです。
もし勧告が来たら、どうすればいい?
ここまで読んで「勧告が来たら終わり」みたいに感じたかもしれませんが、そうではありません。
**勧告は「最後通告」ではなく「最後のチャンス」**です。
やることはシンプルです。
- まず市役所の空き家担当窓口に連絡する。無視がいちばんダメです。「どこが問題なのか」「何を直せばいいのか」を確認しましょう
- 指摘された部分を改善する。草が伸びているなら草刈り、壊れかけの部分があるなら修繕。全部を完璧にする必要はなく、まず指摘箇所からで大丈夫です
- 改善したら連絡して、確認してもらう。状態が改善されたと認められれば勧告が解除されて、特例も守られます
自治体も、べつに税金を上げたいわけではありません。
「危ない空き家をなんとかしたい」だけなので、こちらが動く姿勢を見せれば、ちゃんと相談に乗ってくれます。
「遠方に住んでいて、すぐに草刈りに行けない」——そんな場合は、地元の業者や、こしのやのような管理サービスに頼む手もあります。
※一般的な流れです。細かい運用は自治体によって変わるので、まずは窓口に確認してください。
まとめ:増税は「じわじわ来る」もの
| ステップ |
状態 |
どうなる? |
| ① |
住んでいる |
住宅用地の特例あり(安い) |
| ② |
空き家になる |
特例はまだあり |
| ③ |
傷みが進む |
特例はまだあり |
| ④-A |
管理不全空き家に認定 |
勧告が来る |
| ④-B |
特定空き家に認定 |
指導・勧告が来る |
| ⑤ |
勧告を無視(両方共通) |
特例はずれ・最大6倍 |
| ⑥ |
さらに無視(特定空き家のみ) |
命令→代執行→費用請求 |
繰り返しますが、いきなり6倍にはなりません。
でも、何もしないまま放っておくと、ベルトコンベアに乗せられたように、じわじわ「6倍」へ運ばれていきます。
これが空き家の、地味だけど確実な怖さです。
救いは、このベルトコンベア、途中で降りるのは自由だということ。
何もせず乗りっぱなしの人だけが、終点まで運ばれてしまうんです。
「うちはどの段階?」が気になるなら
「自分の実家、今どのあたりの段階なんだろう」と気になった方、気軽に声をかけてください。
こしのやでは、越前市・鯖江市を中心に空き家の現状確認・活用サポート・管理・売却のご相談を受けています。
「6倍が気になって調べてたら、ちょっと聞きたくなっただけ」——そんな入り口でも、もちろん大歓迎です。
早めに動くほど、降りられる分かれ道は多く残っています。一緒に考えましょう。